僕の大好きな作家・森見登美彦の『太陽の塔』冴えない男子大学生の恋心
前語り
今日は私の大好きな作家さん、
タイトルの太陽の塔はこれ↓のことですね
小説の方の『太陽の塔』は森見さんのデビュー作であり、在学中に執筆した作品だといいます。2003年(平成15年)第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。
ちなみに僕が初めて森見登美彦さんの作品を読んだのは『四畳半神話大系』でした。そのときの衝撃ときたら、、
冴えない男子大学生で主人公である「私」の語りで物語が展開されていくんですけど、その語りがおかしくて、面白くて、背伸びし過ぎた思考と、詭弁とが溢れ出ていて、こんなに面白い文章があるんだ!って、それを読んで以来森見さんが書く文章の虜になりました!
『太陽の塔』も森見さんの作品に多い、冴えない男子大学生が主人公の作品となっております。
目次
あらすじ
ざっくりと言います
京都大学に在学するいままで女性に縁の無い冴えない男子「私」に、3回生の夏、「水尾さん」という一回生の恋人ができる。
喜んだのもつかの間、「私」は「水尾さん」に振られてしまう。
その後「私」は「彼女はなぜ私のような人間を拒否したのか」という疑問の解明のため、「水尾さん研究」と称して、長きにわたり「水尾さん」のことを研究し大量のレポートを制作する。
「水尾さん」から研究停止の宣告を受けるが、「私」はまだ足りないと言い、めげずに研究能力と調査能力と想像力をもって研究を進めていく。
研究を進めるうちに出会う「遠藤」という男
迫りくる「クリスマスイブ」の影
恐怖の生態「ゴキブリキューブ」
四条河原町で起こる「ええじゃないか騒動」
過去の「ソーラー招き猫事件」や、「水尾さん」と「太陽の塔」の関係
多くのヘンテコな事件の先に結局「私」は何を思い、どうなるのか・・・
という話です。
実に面白い!
ラストの方なんて、ただのストーカーまがいの「私」の行動も、ストーカーをするぐらい「あれ」だったんだなということが分かってきて、ため息交じり、でもすがすがしい、そんな気持ちにさせられました。
お勧めの一冊です!
僕のお気に入り「語り台詞」9選
彼女は知的で、可愛く、奇想天外で、支離滅裂で、猫そっくりで、やや眠りをむさぼり過ぎる、じつに魅力ある人間なのだが、残念なことに一つ大きな問題を抱えている。
「なげやりになってはいけないよ」
私が優しく諭しても、そんなときの彼女は何も答えず、風雨で剝げたサドルでただ私の尻をそっと冷やした。
ここまで読んだ読者にはお分かりのことと思うが、私はこだわりの男である。こだわり過ぎて前に進めないということが往々にしてある。
「俺が彼をつけ回し、彼は彼女をつけ回したうえに君をつけ回し、君は彼女をつけ回していたことになる。おそろしい街だ、ここは。愛憎の地獄絵図というやつだ」
「言っておくが、俺のはあくまで研究だ。あんなやつと一緒にしないでくれ」
「みんなが不幸になれば、僕は相対的に幸せになる」
クリスマスイブこそ、恋人たちが乱れ狂い、電飾を求めて列島を驀進し、無数の罪なき鳥が絞め殺され、簡易愛の巣に夜通し立てこもる不純な二人組が大量発生、莫大なエネルギーが無駄な幻想に費やされて環境破壊が一段と加速する悪夢の一日と言えるだろう。
「ああ、身体が痛い。尾骨が、恥骨が」
井戸がぼきぼき身体を鳴らしながら言う。ジャンパーを羽織っただけで朝まで畳に転がっていれば、身体も痛くなるだろう。しかし恥骨はおかしい。
クリスマスとはあの学園祭の集団的錯乱状態を全国規模に拡大したものと言える。
「愛情が歪んだ」という表現が使われるが、恋愛というものは始めからどこか歪んでいる。にもかかわらず、なぜ彼らはああも嬉しそうに、幸福そうに、ほくほくと満足しているのか。
僕の好みで少しピックアップしてみただけなので、
他にも沢山の心躍らせる語りがあります!是非見てみてください!!
余談
4月7日に公開される、夜は短し歩けよ乙女のアニメ映画で、森見さんがさらに注目を集めることになりそうですね
実は4月7日は僕の誕生日なんです!!
公開日が被ったことにけっこう嬉しさを感じております!
ではまたね~